ゆうあい工房

七色(なないろ)になつて大空(おおぞら)に昇(のぼ)っていった
ペケ君(くん)の「ありがとう」の感謝(かんしゃ)の言葉(ことば)と
素直(すなお)な言葉(ことば)の「ゴメンね」は
次第(しだい)に大(おお)きな輪(わ)になり
ドンドン広(ひろ)がって行(い)きます。

「わ～っ！こりゃたまらん～」

そう叫(さけ)びながらペケ君(くん)のお腹(なか)から
黒(くろ)コウモリが飛(と)び出(だ)してきました。
さすがの黒(くろ)コウモリも
こうなっては逃(に)げるしかありません

「ヘロヘロだピィ～～ ま、魔王(まおう)さま～～～ぁ～～」



ペケ君(くん)の言葉(ことば)の輪(わ)は湖(みずうみ)を渡(わた)り
ペケ君(くん)のお母(かあ)さんが閉(と)じ込(こ)められている
『ささやきの森(もり)』までにも広(ひろ)がっていきました。

「あっ！あの声(こえ)は・・ペケ！！」

ペケ君(くん)のお母(かあ)さんは身(み)を乗(の)り出(だ)して
ペケ君(くん)の声(こえ)を聴(き)きます。



「ああ・・よかつた！！生(い)きていてくれたんだ・・」
「がんばつていてくれていたんだ・・・」

お母(かあ)さんは、ひときわ大(おお)きく・・

「コ～～ン！！」

そして、ペケ君(くん)のお母(かあ)さんには
うれし涙(なみだ)があふれてきました。

お母(かあ)さんのうれし涙(なみだ)の一粒(ひとつぶ)が
あじさいさんの花(はな)にかかりました。

するとどうでしょう！！
お母(かあ)さんの涙(なみだ)が一(ひと)つ・・二(ふた)つ・・三(みっ)つ・・
次(つぎ)から次(つぎ)へと虹(にじ)に 変(か)わっていきます。



ペケ君(くん)があじさいさんの結界(けつかい)を
越(こ)えてから あじさいさんも、
とっても弱(よわ)っていたのです。

でも、ペケ君(くん)のお母(かあ)さんの涙(なみだ)から生(う)まれた虹(にじ)が
あじさいさん に元気(げんき)を与(あた)え
みるみるよみがえってきました。
そして『ささやきの森(もり)』の木々(きぎ)たちも
ペケ君(くん)の心(こころ)からの声(こえ)で、どんどんよみがえつてきました。
キラリとひかり　次々(つぎつぎ)と！！



あじさいさん が言(い)いました。

「ありがとう～～」
「元気(げんき)になったよ～～」
「生(いき)き返(かえ)ったよ～～ありがとう～～」

森(もり)の木々(きぎ)たちも口々(くちぐち)に・・
森(もり)のあちらこちらから!

「ゴメンね！ 」
「ありがとう～～」
「元気(げんき)になったよ～～」
「生(いき)き返(かえ)ったよ～～ありがとう～～」

覚(おぼ)えていますよネ？みなさん？
「ささやきの森(もり)」は心(こころ)に思(おも)ったことや
聞(き)こえてきたことをささやくのでしたね

♪「ぁありがとう～～」♪
♪「よかった～～よぉ～」♪
♪「ぉおぉ～かげさまで～ぇ～」　♪

そんな感謝(かんしゃ)の言葉(ことば)の大合唱(だいがっしょうくん)が沸(わ)きあがりました。

「ささやきの森(もり)」は「よみがえりの森(もり)」になったのです。






「トイチ君(くん)の冒険(ぼうけん)」


ペケ君(くん)の嘘(うそ)の巻(まき)・第16回(だいじゅうろくかい)
ファイナルカウントダウン３

「ささやきの森(もり)」が「よみがえりの森(もり)」になり
全(すべ)ての森(もり)の木(き)や、花(はな)の
「ありがとう～」
「おかげさまで～」
感謝(かんしゃ)の言葉(ことば)の大合唱(だいがっしょう)が始(はじ)まりました。

そんな『感謝(かんしゃ)』の言葉(ことば)は
山々(やまやま)にこだまして暗黒魔王(あんこくまおう)の
棲家(すみか)にさえまでも届(とど)きます。

「な、なんだ？　なんなのだ？？あの声(こえ)は？
っ、津波(つなみ)のように襲(おそ)ってくる・・あの声(こえ)は？？」



もう暗黒魔王(あんこくまおう)の顔色(かおいろ)は
青(あお)ざめるのを通(とお)り越(こ)し
真(ま)っ白(しろ)に！！

そこへ、手下(てした)の黒(くろ)コウモリがやっとの思(おも)いでたどり着(つ)きました。

「どうした！！どうしたと言(い)うことなのだ！！」

暗黒魔王(あんこくまおう)は手下(てした)の黒(くろ)コウモリに八(や)つ当(あ)たりです。



「く、苦(くる)しい・・魔王様(まおうさま)・・・」
「おお！これは・・すまなん・・・」
「え？魔王様(まおうさま)・・もしかして・・」
「え～い！なんでもないワイ！」

思(おも)わず、あやまりの言葉(ことば)を口(くち)にしそうになった
暗黒魔王(あんこくまおう)・・これもペケ君(くん)のおかげなの？
でも・・素直(すなお)じゃな～～い！
言(い)ってしまえばいいのにネ？
「すまなんだ」と・・・ね！皆(みな)さん。

「へぇ・・魔王様(まおうさま)・・・ゼェ～ゼェ～」
「は、早(はや)く説明(せつめい)をするのジャ！」
「ペケが・・・感謝(かんしゃ)の・・その・・あの・・七色(なないろ)の・・
そんで・・辺(あ)たり一杯(いっぱい)に・・ゼェ～ゼェ～
広(ひろ)がって・・・あの・・・その・・」
「う～～っ！！よく判(わか)らん！」

黒(くろ)コウモリも息(いき)も絶(た)え絶(だ)えで
説明(せつめい)をするのも面倒臭(めんどうくさ)くなりました。

「と、とにかく・・大変(たいへん)なんだピィ～～ッ」
「そうか！大変(たいへん)なのか！！」

あれ？なんだ？・・単純(たんじゅん)・・・。

黒(くろ)コウモリの説明(せつめい)を聞(き)くまでもなく
魔王(まおう)にとっては大嫌(だいきら)いな『感謝(かんしゃ)の言葉(ことば)』が
絶(た)え間(ま)なく襲(おそ)ってくるわけですから・・

そりゃ～～もう、大変(たいへん)だぁ～～。

おまけに魔王(まおう)のの棲家(すみか)は
石(いし)の壁(かべ)で出来(でき)ているのですから
部屋中(へやじゅう)に反響(はんきょう)します。

「う・・こりゃ～～　た、たまらんわい」

暗黒魔王(あんこくまおう)もう、こうなってはなす術(すべ)がありません。
とうとう逃(に)げ出(だ)してしまいました

「ま、魔王様(まおうさま)さま！オイラたちも一緒(いっしょ)に～～」




おお！暗黒魔王(あんこくまおう)の背中(せなか)にはすでに羽根(はね)が！
そして顔色(かおいろ)は真(ま)っ白(しろ)に！
暗黒魔王(あんこくまおう)と手下(てした)のコウモリたちは
棲家(すみか)の地下室(ちかしつ)へと逃(に)げ出(だ)しました。

暗黒魔王(あんこくまおう)の棲家(すみか)の地下室(ちかしつ)は
外界(げかい)とは完全(かんぜん)に閉(と)ざされた暗黒(あんこく)の世界(せかい)で
さすがの『感謝(かんしゃ)の言葉(ことば)』の大合唱(だいがっしょう)も届(とど)きません
しかし、その代(か)わりに暗黒魔王(あんこくまおう)の
魔術(まじゅつ)も外界(げかい)へ届(とど)かなくなってしまうのです。